Tokyo Tokyo Delicious Museum2023

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Chef’s Interview

東京山手調理師専門学校

実習時間は2年間で1700時間以上と、全国トップクラスの実習量を誇る「東京山手調理師専門学校」。海外経験やレストランオーナーなど、20年以上の現場経験を積んできた講師が指導にあたり、未来の料理人を養成しています。部活動も盛んで、8割以上の学生が参加。Tokyo Tokyo Delicious Museum2023ではすし研究部、パスタ研究部、美膳中国研究部のメンバーが腕を振るいました。今回は、同校の広報担当秋本さんと講師の片岡さん、すし研究部の学生さんに話を伺いました。

学生としてイベントに参加された感想をお聞きかせください。

学生:普段学校にあるレストランに来られるお客様は私たちのことをよくわかっている方々なので、私たちの学校を知らないお客様に料理を楽しんでもらったことがとても新鮮な感覚でした!
お客様の中には、料理を召し上がられた後にわざわざ戻って来きていただいて「見た目はボリューミーなのにヘルシーですごい!」などお褒めの言葉をかけてくださる方もいらっしゃいました。実際に声をかけてもらえるのがすごく嬉しくて、オープンキッチンなので直接コミュニケーションを取れたから良かったです。調理しているところを見る機会はあまりないと思うので、お客様にとっても新感覚だったと思いますし、私個人的にはオムレツを作っている時のお客様の「おぉー!」といったような反応がとても嬉しくて、楽しかったと思えた時間でした!めちゃめちゃいい勉強になりました!

「炊き込みご飯と東京湾・相模湾の未利⽤⿂を使ったつみれバーグ」は盛り付けも好評だったようですね。

学生:お弁当なので蓋を開けた時、「わぁ!」と喜んでもらえるように盛り付けには徹底的にこだわりました。地味に見えがちな炊き込みご飯には、大葉で緑のアクセントを加えたり。つみれバーグの付け合わせ野菜も彩りを意識して、華やかな雰囲気にしたのもポイントです。

1日目のメニューに未利用魚を使うことになった経緯をお聞かせください。

片岡:学校でお世話になっている魚屋さんに「未利用魚として入れられる魚はないか」と相談させてもらったことがきっかけです。規格外であることや、名前が知られていないという理由で破棄される魚でもきちんと料理すればおいしくなることを学んでほしいと考えました。学生からすると普段捌けないアイナメのような高級魚も含まれていたので大喜びでした。

どんな魚が届くかわからないということで、メニュー開発には苦労されたのではないでしょうか?

片岡:その通りです。未利用魚は種類、サイズ、味わいともにバラバラなので、それこそ焼き魚にしたら見栄えが悪くなってしまいます。まず学生にアイデアを出してもらい、その中から白身系は炊き込みご飯に、赤身系はつみれハンバーグに活用することに決めました。

学生:いつもなら「この魚だったらこの料理」とアイデアがすぐ浮かぶのですが、今回はかなり苦戦しました。届いた魚を見て「こんな魚があるんだ!」と驚きの連続でしたね。部活に入っていたからこそできた経験だし、魚を捌くよい練習になったのは間違いありません。

いつもと違う環境の中、特に気をつけていた点を教えてください。

片岡:衛生管理の徹底がその一つです。常に手袋をつけ、綺麗に見せるためにも盛り付けは手でなくお箸で行いました。またオープンキッチンなのでできるだけお客様に見える位置に立ち、お尻を向けないように指導しました。見られている緊張感からピリッとした雰囲気が漂っていたという印象です。

学校での学びを応用できたことや思っていたことと違うことはありましたか。

学生:待ち時間を退屈に思ってほしくなかったので、オムレツを作りながらお客様と話したりしていました。普段学校では月に一度レストラン運営の実習を行っているのですが、終了後にお客様とお話しすることはあっても料理を作っている最中に話すことは新感覚でした。
調理スペースが学校とは違うので、他の学生としっかりコミュニケーションを取りながらぶつかったりしないようにスムーズに提供できるように意識してました。

片岡:普段の実習から動線をしっかり考えて調理するよう指導していたため、限られたスペースでもスムーズに動けていたと思います。話してくれたように学生同士、声を適宜かけあってコミュニケーションできていたのも良かったです。当校の実習室はかなり広めですが、実際の働きに出たときの現場はそうとも限りません。手狭な厨房も意外と多いので、将来に活かせるよい経験になったはずです。

一度イベントを離れ、学校の方針についてご質問したいのですが、山手調理師専門学校さんのカリキュラムの特徴や教育方針について教えてください。

秋本:当校の母体は1950年創業の日本料理店で、“現場で即戦力として活躍できる料理人を育成する”という理念のもと、約40年前に1校目となる調理師学校が大阪に創立されました。その想いは今に引き継がれ、圧倒的な技術力を養うべく「毎日実習」を徹底しています。調理師免許の取得に必要な実習時間は390時間ですが、当校では2年間で1708時間と規定の4.3倍にも上ります。
また、プロの現場をイメージしながら学べるように、最先端の厨房設備を備えた5つの実習室、7つのレストランを完備しています。洗練された環境の中、一般のお客様へのサービス提供を通じ、現場力や経営力を磨くことも私たちが大切にしていることです。
当校が東京に進出したのは「東京は日本の中心であり、食の中心でもある」という初代理事長の考えが起点になっています。そんな食の街でこのような素晴らしいイベントに参加でき、ありがたい限りです。

最後に東京の食の未来を作っていく上での意気込みをお聞かせください。

学生:コロナ禍が明け、これから東京を訪れる外国人はますます増えると思います。できるだけ多くの人に「日本の食はおいしい!」と喜んでもらえる料理を作ることが目標です。授業ではハラルなど宗教に関係する食べ物についても学びます。しっかり勉強して自分たちの頭でも理解して、小さい子供からお年寄りの方まで色々な立場の人が笑顔になれるおいしいものを生み出していきたいと思っています!