Tokyo Tokyo Delicious Museum2023

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Chef’s Interview

福島県相馬市にある「武玄(むげん)」は、地元水産加工会社「ループ食品」が運営する居酒屋です。東日本大震災を乗り越えた2018年にオープンし、「常磐(じょうばん)もの」と呼ばれる地元鮮魚を中心に料理を提供しています。東京の市場関係者や食通に高く評価されてきた「常磐もの」の美味しさの秘密とは?「武玄」および「ループ食品」代表でもある森 拓也さんに話を伺いました。

「常磐もの」ブランドのヒラメを、漬け丼で

武玄さんのお店の特徴や、こだわりについて教えてください。

相馬市の中心街にある、和風レストラン・居酒屋として、地域の皆さんにご利用いただいているお店です。その日に水揚げされた「常磐もの」といわれる地元の鮮魚や、福島県産のお米、地元の新鮮野菜などを使用した料理が自慢です。

「武玄」と書いて「むげん」と読む。そんな店名にしたのは、相馬の無限の可能性や未来に貢献できる店にしたかったからです。漢字にも意味があり、「武玄」の「武」は、福島の伝統神事「相馬野馬追」の騎馬武者から。また「玄」には淡い墨が色濃くなっていくという意味があり、「常磐もの」や「地元食材」の魅力をどんどん重ねていきたいという想いを込めています。

相馬の水産ブランド「常磐もの」は、東京の食通にも人気です。なぜ「常磐もの」は美味しいのでしょう?

福島県沖は、暖かい海流の黒潮と冷たい海流の親潮がぶつかる「潮目の海」なんです。プランクトンなどのエサが豊富で、それを目当てに小魚が群がり、さらに小魚をエサにする大型魚が集まる豊かな漁場で、1年を通してたくさんの魚が水揚げされます。つまりエサが豊富かつ黒潮と親潮がぶつかる海なので、脂がのって身が引き締まった美味しい魚介に成長するんですね。

この福島県沖で水揚げされた魚介は築地市場の頃から高値で取引されており、「常磐もの」というブランド地位を確立するようになりました。近年では「福トラ」と呼ばれるトラフグも注目を集めるようになりましたが、特に昔からヒラメの評価が高く、脂ののり、ほどよい甘味、弾力のある歯ごたえの三拍子が揃った「常磐もの」を代表する魚として知られています。東京の仲買人や料理人からも太鼓判を押される自慢の地域食材です。

今回、Tokyo Tokyo Delicious Museum2023(TTDM2023)で提供する、「ヒラメの漬け丼」は、もちろん「常磐もの」なわけですよね?

もちろんです。「常磐もの」のヒラメは、主なエサとなるカタクチイワシを追いかけて流れの早い海を泳ぎ回っているためとても肉厚。包丁を入れると刃先を押し返すような弾力があり、心地よささえ感じるほどです。捌きたてはプリプリの食感ですが、少し熟成させるとしっとりモチっとした食感になり旨味も増します。

TTDM2023のためにご用意した「ヒラメの漬け丼」は、歯ごたえも旨味も丁度いいヒラメを、地元の醤油をベースにしたタレに漬け込みました。もちろん、お米も福島県産米を使用しています。海の恵みであるヒラメと大地の恵みの米をいっぺんに味わえる、福島の美味しいがギュッと詰まった贅沢な丼です。

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