五反田に店を構える「食堂とだか」は、テレビ東京「孤独のグルメseason6」に登場したことで東京のグルメたちに名が知れ渡った、予約2年待ちの人気店です。人気の秘密は、店主の戸高雄平さんがつくる「牛トロうに巻き」「ウニ・オン・ザ煮卵」「甘納豆チーズサンド」などの、「ありそうでない」料理たち。馴染みの食材を斬新な料理へと仕立てる、戸高さんのアイデアの源流に迫ります。
ホスピタリティが生み出す「ありそうでない」料理
常に斬新な料理を生み出されている戸高さんですが、どうしたらこんなユニークな発想ができるのでしょう?
私の地元は鹿児島なんですけど、東京って飲食の激戦区じゃないですか。凄い腕の料理人もたくさんいる。そんな中で自分のフィールドをどこに置くかって考えたとき、やっぱりお客さまを楽しませたい想いが人一倍強いな、と。なので「ありそうでなかった」というところに着目して、料理を考えているところはありますね。「これをやったら、お客さんがびっくりするんじゃないかな」と面白がりながら試作するうちに、メニューが生まれてくる感じです。
また、うちはあくまで「食堂」なので、高級食材ばかりは使えません。コースには和牛や白子なども使いますが、なるべく身近な食材で食べたことのない組み合わせを考えているうちに、発想が豊かになった部分はあるかもしれませんね。例えば高級店で使っているような食材でも、ちょっとした傷や、形状の違いなどで商品としてはB級扱いになってしまうものってあるんですよ。そういう食材を探してきて提供したりとか、工夫で価格をおさえながら S級の料理に仕立ててやろうという気持ちはいつもあります。
「Tokyo Tokyo Delicious Museum2023」では、新作の「白和えソフトクリーム」をお披露目されますね。
店で出している「フルーツの白和え」という口直しメニューがお客さまにとても好評で、スイーツにできないかと2年ほど前から試行錯誤していたんですよ。プリンやロールケーキ、シュークリームなど色々試したのですが、ソフトクリームが「めっちゃ美味いな!」と。うちの白和えにはマスカルポーネチーズが入っているので、それがアイスクリームにとても合うんですよ。甘さとともに豆腐や和の味も香る自信作なんで、ぜひ多くの方に食べていただき、感想を聞きたいです。
人が料理を美味しくする。それも東京の食の魅力
戸高さんが考える「東京の食」の魅力とは何ですか?
美味しい食事は富裕層だけの特権ではないと常々僕は考えていて。高級店もあればお値打ちなお店もある多様性が、東京の食の魅力かなと思います。例えば五反田だと、千円でべろべろに酔える「せんべろ」な店なんかも多くて面白い。でもね、突き詰めるとやっぱり「食」って人だと思うんですよ。単に料理が上手というだけでは絶対ダメで、東京で人気の店というのはタイプは違えどお客さまを上手に楽しませることができる店主がいます。その人に会いたいとお客さまに思ってもらえるスタッフがお店にいること。そこは「食堂とだか」でも大事にしているところです。
東京で食を提供して行くうえで、今後新しくチャレンジしてみたいことはありますか?
「白和えソフトクリーム」が好評だったら、テイクアウト専門のスイーツ店を出してみたいですね。今回、デリシャスミュージアムに参加を決めたのも、このイベントで新しいチャレンジを一緒にやってみませんか、という声掛けをいただいたからだったりするので。「食堂とだか」ならではの一風変わった美味しいスイーツが食べられるお店です。僕は料理のジャンル自体にはこだわりがないので、お客さんを楽しませられるなら、いろんな食の提供にチャレンジしたいと考えています。