ローカルで考え、グローバルに挑む、
RYコーポレーションの取組

Tokyo 食のリポート

ローカルで考え、グローバルに挑む、
RYコーポレーションの取組

2006年の創業以来、街のアクセントとなるようなブランドをつくってきたRYコーポレーション。同社は新国立競技場や銀座で、世界を相手にしたブランドも展開しています。その裏では、地方の食材を積極的に使うことで、地域の活性化と自社の成長を共に実現するなど、意欲的な経営を行っています。その活動の詳細をレポートしていきます。

地域活性化と東京の食の魅力を両立したハイレベルな提案の秘密

株式会社RYコーポレーションは、2006年の創業以来、「LA COCORICO」や「ビストロガブリ」など、数々の人気ブランドを生み出してきています。特に同社を代表する人気ブランドが「Hawaiian Cafe & Restaurant Merengue」です。目玉メニューのパンケーキはSNSなどを中心に話題を集めていて、連日、同店では行列が絶えません。

業態づくりで大切にしている姿勢について、同社代表取締役CEOの横山藤雄氏はこのように話しています。

「店づくりでこだわっているのは本物かどうかです。メニューは既製品を使っておらず、各店舗やセントラルキッチンで徹底して手作りしています。おいしくて健康なものは、心も豊かになるのでお客様のためになります。簡単に提供できる既製品を使ってまで商売をしたいとは思っていません。また、メニューだけでなく、家具や照明も同じと考えています。イミテーションではなく本物の木材などを使うようにしています。確かに妥協してフェイク素材を使用すれば、コストを抑えられるでしょう。しかし本物だからこそ味わいが出て、多くのお客様を引きつけることもできます」

同社の本物志向は食材でも徹底されています。その一つが行方市の食材の活用です。同市は茨城県の東南部に位置し、日本で2番目に大きな湖、霞ヶ浦に面しています。また市の東側は北浦に面した肥沃な土壌で、稲作をはじめ、レンコンや水菜、トマト、エシャレットなどの栽培が盛んです。また、養豚も広く行われていて、ブランド豚の「美明豚」は全国的に知られています。

しかし、全国的な知名度が決して高くありません。そもそも、“なめがた”と読める人も多くないでしょう。そのため行方で作られた農作物を「おいしい」と味わっているにもかかわらず、それが行方市産のものと気付いていない人も珍しくありません。そこで同市出身の横山社長が立ち上がり、行方市シティプロモーション推進懇談会の委員やビジネスプランコンテストの審査員などを務める一方で、行方の食材を使ったメニューを提案したり、納税の返礼品を開発したり、自社ファームを創設したりと、さまざまな活動を行っています。

ただ街を維持存続していくには行方市をもっと魅力的な街にして、移住したいと思ってもらわなければなりません。そこで目を付けたのがさつまいもです。同市のさつまいもは、「JAなめがたしおさい甘藷部会連絡会」のさつまいも普及の取組が農林水産祭天皇杯を受賞するなど、日本でもトップクラスの品質を誇ります。それにもかかわらず、まだまだ全国に向けてPRができていません。

こうした現状を踏まえて、同社では行方のさつまいものブランド価値を上げて生産者に還元するのはもちろん、生産量を増やすことで雇用を生み出して、魅力ある産業になってほしいと思い、2020年12月にさつまいもスイーツの専門店「Ms.YAKIIMO」をオープンさせました。同店は上野駅近くの「上野の森 さくらテラス」の1階に店を構えています。

焼きいもは気軽に食べられるにもかかわらず腹持ちが良く、栄養価も高いので、健康意識が高まった時代にマッチしたアイテムです。その分、今後、さらに大きなトレンドになっていく可能性もあります。それにあわせて、同店への注目度も高まり、行方市の認知度も向上していくでしょう。

「感動創造」企業を目指す、街にあってよかったと思ってもらえる店づくり

東京2020オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなった新国立競技場の前に、「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」があります。その1階に入っているのが2019年11月22日にオープンした「RISTORANTE&BAR E'VOLTA」と「THE GROVE BAKERY」です。同店は日本の「粋」をコンセプトにモダンイタリアンを提案し、東京の食のレベルの高さを体現するレストランとして人気度を高めています。

人気の秘密が、料理やサービスはもちろん、インテリアや空間デザインに至るまで、ここでしか体験できない感動に溢れているからです。実際、同店は多くの感動が生み出されるスタジアムの前にあるからこそ、人々の記憶に残るレストランでなければいけないという、並々ならぬ使命感を持ってつくられています。

その根底にある考えが「感動創造」です。それを象徴しているエピソードが、2011年3月の「Café & Rotisserie LA COCORICO上野本店」のオープンではないでしょうか。同店のオープンは東日本大震災の3日後でした。当時は計画停電が行われ、自粛ムードも強くあった時期です。そのため同社も店の新規オープンを延期するべきかどうか迷いました。

一方で、当時、街から明かりが消え、不安を感じていた人が多いのも事実です。そうした状況を前にして、できる範囲内で明かりをつけ、街に元気を与えるのも飲食店の使命だと思い、同社は予定通りオープンを断行。すると、想像以上に多くの人が訪れるだけでなく、お客様同士が互いに励まし合うことで前向きな雰囲気が生まれ、街に大きな希望をもたらしました。

飲食店は街のインフラです。しかし、ただ営業をしているだけでは、インフラにはなれません。お客様が飲食店の提案に心を動かされ、その店に特別な思いを抱くようになるからこそ、インフラとして街に存在することができるのです。同社が掲げる「感動創造」という考えは、街にあってよかったと思ってもらえる店づくりにつながっています。

銀座から発信する東京の食の魅力と、次世代の外食業界の在り方

2021年12月、三井ガーデンホテル銀座プレミアに、大人が楽しめるラグジュアリーなスポットが誕生しました。そこが「RISTORANTE E’VOLTA –il cielo-」です。同ブランドの展開は2店舗目になるのと同時に、前回以上に進化をしています。

同店の一番の特徴は、イタリア語で「天空」という意味を持つ「il cielo」の名前の通り、窓一面から東京の絶景を臨む、絶好のロケーションです。その上で「NATURE(自然)」と「TEXTURE(素材感)」、「MODERN(現代)」、「ESSENTIALLY(本質)」の4つのテーマを掲げ、フードやドリンクはもちろん、サービス、テーブルウェア、インテリアなどを洗練させてオールデイダイニングとして営業を行っています。

東京はミシュランの星付き店が世界一多く、世界的に見ても食のレベルの高い街です。その中で選ばれるのは、飲食店ならではの価値を体感できたり、非日常が味わえたりする店になります。つまり、RYコーポレーションが追求する“本物”や“感動”を時代が求めているといえるでしょう。

本物を追い求めたり、感動を創造したりするには手間もお金も掛かるのも事実です。それをどれだけお客様に提供し続けられるか。それが飲食店の価値、企業の価値になっているのです。その意味で、同社が提案する飲食店が外食業界を盛り上げていくのは間違いないでしょう。