町田市を盛り上げる
キープ・ウィルダイニングの存在感

Tokyo 食のリポート

町田市を盛り上げる
キープ・ウィルダイニングの存在感

東京都の西に広がる多摩エリア。その中で、八王子市に次ぐ人口規模を誇り、中心的な役割を果たしているのが町田市です。キープ・ウィルダイニングは本拠地を町田に移して以来、町田の活性化を意識した興味深い取組を体現しています。生産者とも一緒になった取組から、次世代の外食企業の在り方を探っていきます。

町田市から企画・運営を受託。キープ・ウィルダイニングの新店舗が町田市にもたらした豊かさ

町田市民の憩いの場所として、人気を集めている町田薬師池公園四季彩の杜。駅からは多少離れた場所にありますが、週末になると多くの家族連れでにぎわっています。2020年4月には公園の新たな玄関口として、西園ウェルカムゲートがオープン。農産物直売所や町田産の食材を使った食事ができるカフェレストラン、クラフト体験などができる体験工房、そしてバーベキューができる広場などがあり、町田市はもちろん市外の方も足を運んでいます。他社と協同して同公園の指定管理者を務めているのが株式会社キープ・ウィルダイニングです。

町田薬師池公園四季彩の杜 西園ウェルカムゲートにある44APARTMENT薬師池
町田薬師池公園四季彩の杜 西園ウェルカムゲートにある44APARTMENT薬師池

同社は2004年に創業し、本拠地を町田に移したのは、2011年です。それ以来、町田市に根付いた飲食店の提案を大切にしています。現在は、飲食事業を柱にプロデュース事業、卸売事業、そしてスペース事業と、多岐にわたるビジネスを展開されていますが、共通するのは「この地域をもっと豊かにしたい」という想いです。その象徴となるような店舗が、「44APARTMENT(ダブルフォーアパートメント)薬師池」に他なりません。

同社取締役営業本部長の沼田直哉氏は、同店の特徴について次のように話します。

「44APARTMENTのコンセプトは、街のセカンドリビングです。大切な誰かを招待したくなるような居心地のいい空間づくりを心がけています。西園には老若男女を問わず、幅広い年齢層の方が訪れています。ですので、当店の客層もとても幅広いです。そこで私たちは、来店される皆様が満足だけでなく豊かな時間を過ごしていただけるようなサービスや料理・過ごし方の提案をしています。私たちの取組を通してまだ知らない街の魅力に気づいてもらう。そうした仕掛けを通して、西園に私たちのお店がある意義を感じてもらえる店作りをしています」

44APARTMENT薬師池
44APARTMENT薬師池

町田の魅力の一つに食材があります。例えば、同店はテイクアウト商品として「薬師ベジタブルカレー」と「薬師ローストチキンカレー」を販売していて、付け合わせに町田産の季節の野菜を使っています。また、「薬師ミルクソフトクリーム」や「薬師ミックスソフトクリーム」の原料は町田の北島牧場から仕入れた牛乳です。

町田の北島牧場から仕入れた牛乳を原料にした薬師ミルクソフトクリーム(左)、薬師ミックスソフトクリーム(中央)
町田の北島牧場から仕入れた牛乳を原料にした薬師ミルクソフトクリーム(左)、薬師ミックスソフトクリーム(中央)

しかし、同店では産地などを大きく打ち出した提案はしていません。なぜならそれを大きく打ち出すよりも、実際に食べておいしさを体感してもらう方が、より魅力が伝わると考えているからです。同店の提案するメニューが、まだ知らない町の魅力を発見するきっかけづくりの役割を果たしています。

なお、公園内にある直売所の運営を担っているのも同社です。直売所では季節によってさまざまな農産物や町田の名産品・地酒などが販売されています。商品を販売している生産者は、キープ・ウィルダイニングの担当者が自ら足を運んで開拓し、信頼関係を構築しているところばかりです。毎月「やくしLOCALファーマーズマーケット」というマルシェも開催され、このイベントや直売所をきっかけに、町田市の生産者同士の横のつながりも生まれています。

「やくしLOCALファーマーズマーケット」の様子
「やくしLOCALファーマーズマーケット」の様子

キープ・ウィルダイニングだからこそできた挑戦の数々

町田市の中心にある町田駅は、JR横浜線と小田急線が乗り入れています。町田駅は多摩エリアの一大ターミナル駅です。乗降客も多いため、駅の周辺には百貨店やファッションビルをはじめ、様々な大手飲食店チェーンが店を構えています。その中で、同社は、街に求められている飲食店を提案して存在感を発揮してきました。

例えば、2010年代のはじめ、町田には女性が楽しめる飲食店があまりありませんでした。そこで同社は「CAFE KATSUO」を皮切りに「01 CAFE」や「The CAFE」など、コンセプトが異なる魅力的なカフェを続々とオープンさせ、町田市に新たな彩りを加えていきます。

そんな同社の一つの集大成とも言えるのが2019年にオープンしたオールデイダイニング「STRI(ストリ)」です。同店は西東京最大級の大型ルーフトップレストランで、コンセプトは「街の大人が遊びだす。」です。ランチにはホテルクオリティのビュッフェ、ディナーにはピッツァやクラフトビールが楽しめるなど、昼夜で異なる提案を行っています。

STRI
STRI

フロアの中にはSTRIの他に、薪焼ステーキレストラン「COQUETTE(コケット)」と、シガー&バー 「ROJY(ロジー)」という二つの店舗があります。

ROJYは本格カクテルや希少なウイスキーやシガーをカジュアルに楽しめるバーです。バーテンダーが作る地元の食材や果物を使った季節のシグネチャーカクテルを目当てに、連日、多くの方が訪れています。

ROJY
ROJY

COQUETTEは1日4組限定の完全予約制フルコースのステーキレストランです。同店では「武相料理」という提案を行っています。かつて武蔵の国と相模の国の一帯は「武相」と呼ばれていたそうです。同社ではその歴史を今に受け継ぐとともに、次世代へ思いを繋いでいます。その一つが同店の武相料理です。前菜・魚料理に地元の食材を使うのはもちろん、文化にもこだわって、ジャンルにとらわれない表現をしています。

町田の活性化を意識した興味深い取組“武相”が世界に誇るレベルの高いレストランを体現。

誰とどんな時間を過ごしたいのか。それによって店舗を選ぶことができるように、さまざまな業態を展開しているキープウィル・ダイニング。そうした提案ができるのもミシュラン出身のシェフや、他社が参考にするようなレベルの高いサービスマンがいるからです。それが、同社のレストランのクオリティを高めてもいます。

実はかつて、同社は23区に本格的に進出し大きく事業拡大ができるチャンスがありました。しかし、熟考の末、「この地域に育ててもらったからこそ、ほかの地ではなくこの地域をもっと豊かにしたい」とその案件を断ったそうです。

その思いは大きく花開き、今、同社の取組は外食という枠も飛び越えています。その一つがコワーキングオフィス「BUSO AGORA」です。BUSO AGORAでは人と人とのつながりを大切にしています。その要になるのが、コミュニティマネージャーです。利用者が何に困っていて、どんな人とつながりたいと思っているかなどを、コミュニティマネージャーらがヒアリングし、ビジネスがスケールしていくサポートをしています。事業プレゼンなどを行うビジネスイベントも多く開催されています。将来、ここをきっかけに町田を大きく変えるビジネスが誕生しても不思議ではありません。

BUSO AGORA
BUSO AGORA

最近、同社が影響を与えるエリアは町田から、武相エリア一帯に広がっています。食で街を豊かにしながら次世代へ思いを繋ぐ。キープ・ウィルダイニングの取組が、町田をさらに魅力ある街にしていきます。